href="http://baby3.3rin.net/RSS/"> href="http://baby3.3rin.net/ATOM/"> ハロー、グッバイ それはどこまでも美しいブルーだった 忍者ブログ
取り扱いは海外ドラマなどですが、実際の人物、原作者の方、団体等には一切関係がございません。 同性愛表現を含みますので、同人にご理解、ご興味のない方のご入場は固くお断りしております
11 . June
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15 . November
ウォーキング・デッド
手錠に繋がれて一人屋上に取り残されてしまったマールのおはなし
マールを良い兄として描こうとして失敗して、ひどいブラコンになってしまった




>11/11 涙色に感想を下さったNONAME様
ダリルは何気に仲間思いなので、いつかマールと仲間を天秤にかけることがあるのかなぁと思うと泣けます。今回は仲間を重んじたダリルですね。その辺の描写はあんまりしてなかったのですが、読み取っていただけて嬉しかったです。  グレンはとてもナイスな中国人なので(違う)、仲間のために泣いてあげられる優しい人だと思ってます。  こうやって感想いただけると励みになります。これからもお付き合いいただけると幸いです。最後になりましたが、感想をほんとうにありがとうございました!






手錠で繋がれ、たった一人取り残された後、マールは怒りに支配された。
リックたちの理不尽な行動にもそうだし、何故自分がこんな目に、という思いもあった。
短気な性格もあって、彼は自分の状況も理解せずにじたばたと暴れる。いや、手錠に繋がれている、という状況はわかっていた。彼が頭の隅へ追いやったのはその先、つまり身動きの出来ない状況で襲われた場合のことだった。
手錠が手首に食い込んで皮膚が捲れてもマールは気にしなかった。彼は頭に血が上ると他のことを考えられなくなるのだ。
それでも、ひとしきり暴れると疲労を感じて彼は暴れるのを止める。次に始まったのは、自暴自棄だ。どうにもならない状況を考えないために、過去を振り返って思い出を鼻で笑うマールを、他人が見ればひどく哀れに感じたことだろう。
 
「すべてに意味はあった…」
 
ぐだぐだと長ったらしく回想に耽っていたマールは、諦めたように空を見上げた。
生憎空は曇っていて、太陽にまで見離されたようだった。それでも、彼は自分の人生を振り返ってみて、晴々とした日に死ぬよりはこんなくそったれな天気のほうが似合いだと、そう思う。マールは、死を悟った。
しかしふと、晴れた日の空をそっくりそのまま映したような、美しい瞳をした、たったひとりの弟を思い出す。
マールの弟ダリルは、小さい頃よく泣いた。ビー玉のようにまるい目から零れる雫はいつだって純粋だった。その度にマールはダリルを泣かせた相手を殴って、ボコボコにした相手の血がついた手でダリルを慰めた。
小さい頃から乱暴者で札付きのワルだったマールは、誰が泣き喚こうと知ったことではなかった。それなのに、ダリルが泣いていることに耐えられなかった。弟はいつも自分の真似をして強がっていればいいと、マールは考えていた。
そして何年も時が過ぎ、ダリルも随分泣かなくなった。マールのように汚い言葉を吐くようにもなった。それでもそれはただのポーズにしかすぎず、ダリルの本質は幼い頃と何一つ変わっていないことをマールはわかっていた。故にマールは、いまだダリルが泣いていることに我慢ならないのだ。
 
「…だめだ」
 
マールは否定した。自分が今まで受け入れていた死を、完膚なきまでに否定した。
自分がどう表現したところで悪人だと知っている彼は、それでも今この時、死んではいけないと、そう思ったのだ。
たとえ世界がゾンビに覆われても、少ない仲間(といえるのかどうか微妙なところだ)が自分を置き去りにしても、弟のために生きなければならないと、マールは強く思った。
マールがいなくなったことを、置き去りにされたことを知ったなら、きっとダリルは此処へ辿りつくだろう。そして、死んでしまったマールを見つけ、ダリルはやはり泣くのだろう。そんなことは、マールが許せなかった。
たとえ死ぬのだとしても、ダリルが気付かないところで死ぬべきなのだ――マールは必死になって手錠を外そうと試みるが、頑丈なそれはどうやっても外れそうにない。
それでもマールは同じような行動を繰り返した。手錠が腕に食い込んで今にも腕が駄目になってしまいそうだったが、マールはこの場で死ぬよりはましだと思った。
そして、神に祈ったり罵倒したりした挙句、ついに頼りない弓鋸を見つけた。彼は迷わずそれを手繰り寄せる。弟を泣かせずにすむのならマールは腕がどうなろうと一向に構わなかった。
 
 
 
ダリルが屋上に辿り着いた時、マールが望んだとおり、ダリルは泣かなかった。
マールがそれを知ることはないけれど、その時彼が見上げた空の色は、ダリルの瞳の色をしていた。それはどこまでも美しいブルーだった。
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