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取り扱いは海外ドラマなどですが、実際の人物、原作者の方、団体等には一切関係がございません。 同性愛表現を含みますので、同人にご理解、ご興味のない方のご入場は固くお断りしております
11 . June
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08 . February
寝暗で卑屈なノーマン(大学教授)と、ハンサムショーン(俳優)のおはなし

実験と教授設定はナンバーズから頂きました






コンコン。
開け放してある教室の戸を叩き、教壇の上で何かの機材を片付けている彼に自分が来たことを知らせる。手を止めて俺の方を向いた彼に、やぁ、と声をかけると、彼はなんだか曖昧な笑みを浮かべた。
彼の名はノーマン・リーダス。この大学で数学の教授をしている。彼は数学の学会では知らない人はいないほどの天才で、いくつもの数学の理論を発表しているらしい。俺には専門的すぎてついていけないけれど、リーダス理論という数学の公式があるというのだから、きっとそれは嘘ではないだろう。
 
「これ、何かの実験?」
「表面張力の実験をしたんだ」
「ふぅん。じゃぁもう授業は終わり?」
「うん、終わり」
 
机の上にあるコーラのペットボトルと、メントスが“表面張力”の実験に一体どういった役目を果たしたのか俺にはさっぱりだった。
ノーマンは机の上にあるものをさほど大きくないダンボール箱に詰めて、教科書とノートをその上に乗せた。彼がそれを持つ前にダンボールを取りあげると、あ、とノーマンが言う。
 
「君の部屋(教授室)だろ?」
「いいよ、自分で運ぶ」
「運ばせてくれよ。じゃなきゃ、君の部屋まで行く理由がなくなる」
 
そう言ってノーマンにウィンクすると彼はすぐに視線を下げた。そのまま小さな声で,、ありがとう、と言うのが聞こえる。
ノーマンは自分に向けられる好意に臆病だ。俺が告白した時も簡単にはそれを信じてくれはしなかったし、今でさえ事ある毎に、自分たちが何故付き合っているのかわからない、と言う。
曰く、フットボールの選手はチアガールと付き合うのが一般的常識、なのだそうだ。確かに学生時代、まるでそれが規律のようにフットボール選手はチアガールと交際していたように思う。でも、そうじゃない奴らだっているはずだ。
それに、ノーマンはその長い前髪で隠れているけれど、とても綺麗な顔立ちをしている。尚且つ頭も良いし、気遣いも上手く優しい気性をしている。チアガールほどの社交性はないけれど、それを補って余りあるほど彼の魅力は多い。本人はてんで気付いていないらしいが。
 
「なぁ、この後予定空いてるか?食事に誘いたいんだけど」
「……えっと、誰の予定?」
 
教授室に到着してダンボール箱を適当な棚の上に下ろしてから訊ねると、ノーマンはあまり整頓されているとは言い難い机の書類をがさがさ漁りながら質問で返してきた。
この部屋にはノーマンと俺の他には誰もいない。俺に妖精や精霊の類が見えれば彼の質問はそれなりに意味を成すのだけれど――いや、仮に俺が変な生き物を見る力があったとしても食事に誘うわけがないんだから、結局彼の返答は奇妙この上ないものだ。
君のだよ、と簡単に言うと、ノーマンはびくりと体を硬直させる。彼の机の上に積まれた書類がバランスを崩して倒れてしまっても、彼はびっくりしたような顔をしたままでいた。
 
「恋人を食事に誘うのは普通だろ?」
 
ノーマンはいまいち俺の恋人だっていう自覚が足りないんじゃないだろうか。
そんな彼に向って笑顔を見せると、はっと我に返ったように彼は大きく頷く。取り繕うように、散らかった書類をかき集め始めながら、俺の勧誘に返事をくれた。
 
「えっあ、う、うん…そうだね。えぇと…じゃぁ、家に帰ってジャケット取ってくるよ」
「いいよ。店には行かないから」
「?」
「俺の家へ行こう。ご馳走するよ」
 
大したものは出てこないけど、なんて冗談めかして付け足して笑うと、ノーマンは口を開けて間抜けな顔をした。彼の手から先程かき集めた書類がこぼれ、再び散らかる。この書類が今日中に片付けられることはないな、なんて俺は余所事を考えた。
ノーマンは俺と外出するのがあまり好きじゃない。断言するのは、ついこないだノーマン自身がそう俺に告げたからだ。理由はまだ聞いていないが、俺にとっては大した問題じゃないだろう。ただ、それはノーマンにとっては重大なことなのだ。
だから俺は、彼がOKと言うまでは待つつもりだ。従って、お家デートなんて可愛らしいお付き合いをしようと思う。二人で食事して、テレビを観て、ノーマンを家へ送り届ける。送り狼になれるかどうかは、ノーマン次第だ。
 
「………君、どうして僕と付き合ってるのかな?」
「その質問好きだよな、君」
「だって、本当にわからないんだ」
「やれやれ、頭の良い数学者様は何でも難しく考えるんだよな。――シンプルに考えてみろよ」
 
解けない問題を前にしたような難しい顔つきになったノーマンに、俺は肩を竦めてみせた。
君は答えを知っているはずなんだけどな。俺はノーマンと付き合う為に、マニュアル通りにきちんと「I love you」と伝えたんだから。
ノーマンはやっぱりわからないみたいで、首を傾げながら、わからないよ、と言った。困ったような顔をするノーマンは可愛い。この彼の可愛さに免じて、しつこいくらい繰り返される彼の不要な質問に、俺は何度だって答えよう。
 
「Becouse, I love you!」
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